審美的な白い詰め物にするために
2019年8月1日
キレイな歯というと、白い歯をイメージする人が多いと思います。確かに対面で話していて金属が目立ちますと、「おやっ」と感じるものですし、金属でなくとも前歯の色の変色はやはり気になります。
今後はメタルフリーが徐々に一般化されていくと思いますが、それでも詰め物の変色は、無くならないでしょう。また、仮に詰めた物が変色しなくても、歯の色は年齢とともに変わってきますので、詰めた部分が目立ってくる可能性はあります。
そこで、ここで少し専門的になりますが、少しでも長く目立たせないようにするための工夫を書いていきたいと思います。
まず、技術的な問題として歯科医サイドからどういう工夫が出来るかを知ってもらいたいと思います。
*削った部分を目立たなくするには
第一にむし歯を削った部分に白い詰め物をするわけですから、削った部分がそもそも見えなければ一番いいわけです。特に前歯の場合はそうです。では、削った部分がなるべく見えないようにするにはどうするか?
前歯に限らず、むし歯は歯と歯の間にできる事が多いのですが、前歯の場合は歯と歯の間にできたむし歯を表の見える側からではなく、裏側から削って詰めるようにします。こうする事で、表から見える修復の部分を極力減らす事が出来ます。
前歯に限らず、むし歯は歯と歯の間にできる事が多いのですが、前歯の場合は歯と歯の間にできたむし歯を表の見える側からではなく、裏側から削って詰めるようにします。こうする事で、表から見える修復の部分を極力減らす事が出来ます。
さらにむし歯が歯と歯の間に限局している場合は、リテーナーという道具を使って、歯と歯の間を広げてなるべく必要以上に歯を削らないようにする事で、やはり治した部分がわからないようにする事が出来ます。
*詰める材料のレジンの選び方
第二は、詰めるレジンの材質です。実はレジンにも様々な種類があります。変色が少なく、周りの歯の色を反映するレジンを使う事で、周囲と色が馴染むものを使えば、目立つ事がなく、治したあとが、よくわからないように修復する事が出来ます。
当院が使用しているレジン
【参考】
株式会社松風
コンポレッドレジン
ビューティフィルシリーズ
http://www.shofu.co.jp/product/core_sys/images/main/seihin/sikan/pdf/composite_resin_bf_list.pdf
*変色を防ぐために控えていただく食品
次に患者さん側から出来る事を書いていきます。修復で使うレジンという材料は吸水性があります。したがって着色の強いコーヒーやカレーや赤ワインなどを頻繁に食しますと、変色が早くなります。ですから白い状態を維持したいのであれば、なるべく着色しやすい食事は控える事です。
ただ、変色は表面から始まりますので、初期であれば研磨する事で回復します。これは歯科健診の際に、機械的研磨で白く出来る事が多いので、最近治したところが変色してきたなどという場合は歯科医院で相談してみてください。
*歯磨き粉の選び方
食事は気にしたくないという事であれば、次に出来る事は、研磨剤の入った歯磨き粉を使うことです。また、できれば資質を強くするために高濃度フッ素入りのものがいいと思います。
最近はステインを浮かせて落とす美白歯磨きも販売されました。
最近はステインを浮かせて落とす美白歯磨きも販売されました。
【参考】
Brilliant more
ライオン歯科材株式会社
https://www.lion-dent.com/dental/products/basic/brilliant_more.htm
*歯の白さ以上に大切なこと
最後に、むし歯を治すという観点から、審美性を高めることについて書いてきましたが、実は歯の白さと同じかそれ以上に大切なのは、歯肉の健康です。
薄いピンク色した引き締まった歯肉は、歯の白さをより美しく見せます。私たち歯科医師や歯科衛生士は日常的に様々な人たちの口の中を近い距離からみる機会があります。どんなに容姿が優れていて、歯が白く見えても、歯肉に炎症があり口臭があっては、全ては台無しです。
また、臭いというのはかなり記憶に残ります。審美的な歯や口腔を維持するためには、やはり正しい歯ブラシの習慣が必須になります。