歯ぎしりで悩んでいる方へ
あなたはご家族や友人に歯ぎしりしていると言われた事がありますか?あるいはお子さんが寝ている時に歯ぎしりをしていますか?そもそも歯ぎしりとは悪いものなのでしょうか?ここでは歯ぎしりについて困っている方、あるいは頭痛や肩こりが酷くて困っている方にもご参考いただけるヒントが書いてあります。
自分でできる対処法
*お風呂に首まで10分間くらい浸かり、肩や首回りをほぐす。
*布団に入る前に軽く顔や頭のマッサージを行い筋肉をリラックスさせる。
*なるべく上向きで寝る。(うつぶせ寝や横向き寝をしない)
*鼻から吸って、口から出す呼吸法を10分くらい行う。(吸う息よりも吐く息を長くすることがポイント)
*昼間の仕事や勉強の時など、歯ぎしりや食い縛りに気がついた時は上記の呼吸法や軽いストレッチを行う。
*食べ物は左右で噛むように心がけて、片噛み習慣にならないようにする。
*下記の簡単な顎の体操を行う。
やり方・・顎の筋肉を伸ばすように下顎をゆっくりと突き出す。そのまますこし状態をそのままにして、その後一気に力をぬきます。この動作を2〜3回繰り返す。痛みがでないように無理なく行う。
その後、顔の筋肉を外に引っ張るようにゆっくりと口を横に開く。この動作を2回繰り返す。この後、手を後ろに組み頭を前に倒し、お口を大きくあけます。以上の動作でお口や首をほぐします。
歯科医院でできること
マウスピースは歯の型をとって、その人に合ったものを作成します。上顎に装着しますが、最近は薄いものもありますので、多くの方が問題なく使用しています。食い縛りや歯ぎしりがありますと、歯にダメージを与えるだけでなく、頭痛や肩凝りの原因にもなります。ある程度症状が無くなるまでマウスピースを夜間寝ている時に装着します。マウスピースは、保険適用で作ることができます。
順番が前後しますが、上記のマウスピースを作成する前に行うのが、咬合のチェックです。歯に被せ物や詰め物をした場合、早期接触のために歯ぎしりを行っている場合があります。
また、生理的な歯の移動によって 噛み合わせが変わり、ある歯の特定の部分が強く当たるようになったために、歯ぎしりを行うようになる事もあります。こうした場合は、歯や補綴物の咬合調整を行う事で歯ぎしりや食い縛りが無くなることがあります。したがいまして、まずは咬合のチェックが第一で第二がマウスピースということになります。
ストレスと密接に関係
さてここでは、異なる角度から歯ぎしりについて書いていきます。今までは歯ぎしりは悪いことばかりと思われてきましたが、実は歯ぎしりは心理的ストレスを和らげる効果もあるとが最近の研究でわかりました。
【動物を用いた研究】
「ラットをもちいた実験」
ラットを仰向けに身動きをとれないような状態にすると、ラットは100%胃潰瘍になります。つまりネズミは拘束されたストレス状態のために病気になります。ここでラットに同じ条件下でストレスをかけるのですが、その時に木を噛ませて食いしばりができるようにすると胃潰瘍の発症率が約66%に減少します。
上記の結果から、歯ぎしりという咀嚼行為が視床下部の神経細胞の興奮を抑え、ストレスの有害な作用を抑制することがわかったのです。つまり歯ぎしりで心理的ストレスを和らげていたということです。
しかし私たちの場合は、歯ぎしりの強い力が歯や歯周組織に以下のダメージを与えてしまいます。ですからストレスを別の方法で解消する必要があるわけです。
歯ぎしりが歯に与えるダメージ
・朝起きた時に顎が痛くなる
・歯がしみてくる
・歯がかける・われる
・歯がすり減ってくる
・歯の根元にくさび状のへこみができる
・骨隆起ができてくる
歯ぎしりの種類
グランディング:上下の歯をギリギリとこすり合わせる
タッピング:上下の歯をカチカチと連続的にかみ合わせる
クレンチング:無意識で音もなく歯を強くかみ合わせる
「グランディング」「タッピング」は音がするので、隣で寝ている人に指摘されご本人は自覚がありますが、「クレンチング」は音がしないため、ご本人に自覚されないことが多いです。
良い歯ぎしり?
======下記はNHKのためしてガッテンより抜粋========
健康に「良い」歯ぎしりとは?
「良い」歯ぎしりとは具体的に何が良いのでしょうか。
実は、ある病気と関係しています。それは、いやな胸焼けや胃のもたれ、時には、激しい胸の痛みが襲う病気「逆流性食道炎」です。胃酸などが胃から逆流することで、食道に炎症がおこる病気です。患者数はなんと1200万人!
実は、この逆流性食道炎をなんと、歯ぎしりが防いでくれるというのです。
歯ぎしりによって歯をかみ合わせると、反射的に唾液がでます。この唾液を飲み込むと、食道に逆流した胃酸を中和するので、炎症を防いでくれるというわけです。他にも、ストレス物質が減るという研究や、血糖値や血圧が下がるという研究結果もあります。実は歯ぎしりは多かれ少なかれ誰でもしているものです。軽い力で歯ぎしりをしている分には、体に良いものなのです。ですからあまり神経質になる必要もありません。
参考資料
NHKためしてガッテン
https://www2.nhk.or.jp/cgisearch/wbs/query.cgi?col=top&ct=&st=&ql=&charset=utf-8&qt=ためしてガッテン