機能的な審美性のための模型作り
2019年9月26日
歯に被せ物や詰め物をするために、歯の形成をしますが、その後に必要なのは咬合採得そして歯の型どり(印象採得)と模型作りになります。
咬合採得で気をつける事
咬合採得は、シリコンやワックスで行いますが、大切なのは正確な位置で咬んでもらうことです。私たちは口に物が入りますと、どうしてもそちらで咬もうとします。
右にものがあるなら右で、左なら左というように、何もない状態で普通に口を閉じた状態とは、ズレてしまいます。ズレないようにあるいはズレを修正して咬んでもらうために、患者さんにコツを教えたり、より抵抗のない状態をつくって咬合採得を行います。
2種類の印象材
つぎに型どりをしますが、型をとる印象材には、寒天アルジネートを使った方法とシリコンによる方法の2種類があります。通常はシリコン印象の方が寸法精度が高いと言われています。
ただ、歯に動揺があったり、口腔内にアンダーカットが強い部分が多いと、印象材を外すときにそれらにダメージを与えてしまいます。寒天とアルジネートの場合は、硬化してもシリコンよりも柔らかく、撤去が容易なので外すときのダメージは少ないと言えます。
小さな補綴物の場合は、どちらも正確に使用すれば臨床上、問題なく使用できます。私のところでは、口腔状態や被せ物や詰め物の材質を考慮した上で使い分けていますが、両方の印象材を使って2回印象を取ることも行っています。
これは印象をとった後に石膏を注ぎますが、実際にできた石膏模型でマージンや
石膏面の滑らかさを確認して、より良い方を歯科技工士さんに模型を渡すようにしているからです。
また、複数の前歯を一度に治療するときは、仮歯が入った状態の口腔内の模型をとって、それを一緒に歯科技工士さんにお渡しします。そうすることで、歯の形や大きさ、咬合の与え方に参考になる情報をなるべく多く渡したいと考えているからです。
例えば上の前歯の場合、左右反対側の歯、隣の歯、咬み合う下の歯など、その歯の形を復元する時に参考になる情報はありますが、仮歯からは全体のバランスや下顎の運動時の情報も読み取れることがあるからです。このようにして作られた補綴物は、機能的な審美性を満足したものとなります。